パインアップルの歴史と研究開発の現状
パインアップルの歴史
パインアップルの原産地は南アメリカの熱帯地方で、コロンブスの探検隊が西インド諸島を発見する1492年以前から、原住民の間で広く作られていたそうです。探検隊によって新大陸からもたらされたパインアップルは、その後、ヨーロッパの貴族やお金持ちの人々の間で高級な果物として温室で作られるようになり、世界中に広まっていきました。
沖縄県でのパインアップルの歴史
沖縄県に伝わったのは1868年のことで、石垣島沖に座礁したオランダ船から漂着した苗を植えたのが始まりといわれています。その後、沖縄本島でも作られるようになりましたが、これらは果実の小さいもので、現在私たちが缶詰や生で食べているパインアップルが導入されたのは昭和の時代になってからです。
東村には、昭和27(1952)年に平良に1000本が試験的に植えられたのが始まりと言われており、その成功によって栽培が本格化しました。
現在、日本では沖縄県(本島北部地域、八重山地域)、外国ではタイ、フィリピン、メキシコ、ハワイ、台湾、マレーシアなどが産地です。
沖縄県におけるパインアップル関連の試験研究は沖縄県農業研究センター名護支所・石垣支所において長年にわたって取り組んでおり、優良品種の開発や栽培技術の研究に成果を上げてきました。
特に沖縄県内におけるパインアップルの一大産地である本島北部で、1989(平成元)年よりパインアップルの育種に取り組んでいます。近年出荷が増えている生食用品種のうち、「ソフトタッチ(ピーチパイン)」などはその成果の一つです。
沖縄県の経済を支えてきたパインアップルですが、輸送や貯蔵に弱く、もともと缶詰など加工原料用が主流でした。しかし、最近は観光用としての需要の増大もあり、生食用果実の生産が伸びてきています。
沖縄県農業研究センター名護支所では付加価値の高い生食用品種の開発を目的に研究を行っており、これまでに「ソフトタッチ」、「ハニーブライト」、「サマーゴールド」、「ゆがふ」、「ゴールドバレル」、「ジュリオスター」を品種登録し、2017年1月には「沖農P17」(サンドルチェ)が品種登録されました。
研究開発の現状
近年は、甘みのあるパインアップルを利用した無加糖の缶詰やワインを開発した民間企業と、パインアップルの未利用部分を活用した酢を共同開発するなどで連携し、加工適正の高い品種の開発に取り組んでいます。
また、東村にあるパインアップル缶詰工場では加工時において皮や芯などの未利用部分から果汁を搾り、その残渣は飼料として利用するなど、ゼロエミッション型の循環型農業が確立されています。
さらに、シークワーサーの例にも見られるように機能性の研究は近年の健康ブームにおいては重要な商品開発のメニューであり、食材の利用法と並んで、今後一層の研究が望まれる分野です。
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更新日:2022年03月28日